懲戒解雇とは、就業規則上の最も重い懲戒処分が科されて行われる解雇のことをいいます。懲戒解雇に該当する行為の代表的なものは、次のとおりです。

懲戒解雇に該当する行為

  1. 極めて軽微なものを除き、刑法に該当する行為のあった場合。
  2. 賭博、風紀紊乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合。
  3. 雇い入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合。
  4. 他の事業へ転職した場合。
  5. 原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合。
  6. 出勤不良または出勤常ならず、数回にわたって注意を受けても改めない場合。

通常、懲戒解雇は即時に解雇するのが普通です。ただ、解雇予告や解雇予告手当なしに即時解雇するためには、労働基準監督署長に「解雇予告除外認定許可」を申請し、許可を受ける必要があります。
また、懲戒解雇は退職金を全額不支給にしたり、減額支給したりする場合が多いです。

懲戒解雇が有効かどうかの基準は?

懲戒解雇も普通解雇同様に、客観的に見て合理性があるかと社会的に見て相当性(妥当性)があるかにより判断されます。

さらに懲戒解雇は他の解雇と異なり、会社の従業員に対する制裁処分としてなされるものであるため、いくつかの懲戒解雇の原則があります。

  1. 罰刑法定主義
    懲戒処分は必ず就業規則によって、処分の対象となる行為、処分の種類・内容を明らかにしておかなければなりません。
  2. 二重処分の禁止
    同一の懲戒事由に対して、懲戒処分を2回以上課すことはできません。
  3. 効力不遡及の原則
    新たに懲戒処分の対象となる行為を定めた就業規則の効力は、その明定後の対象行為にのみ効力を有し、それ以前の行為はたとえ新たな就業規則において懲戒の対象であったとしても、その効力は及びません。

懲戒処分は就業規則等に明定されていれば、それは使用者に与えられた当然の権利です。しかし、客観的公平さを保障する必要があります。

具体的な解雇理由は何があるの?

労働義務の不履行

  1. 無断欠勤・遅刻・早退
    2週間以上正当な理由がなく、出勤の督促にも応じない場合や、無断欠勤、出勤不良、職場離脱等が正当な理由なく重なった場合は、数回にわたって注意するも改めない場合は、懲戒処分として認められていいます。

虚偽報告

  1. 経歴詐称・前歴隠匿
    労働者が、虚偽の告知(経歴詐称等)や事実(前歴等)を隠匿したことにより、採否の決定や、入社後の処遇について会社の判断を誤らせたような場合は、懲戒処分として認められています。

職場外の非違行為

  1. 職場外での犯罪行為、男女関係の問題、二重就職等
    職場外の行為が、職場秩序に影響を及ぼした場合、もしくは実際に会社の社会的評価を大幅に下げたような行為をした場合は懲戒処分として認められています。

職場内の非違行為

  1. 金品の着服・横領
    金品の着服・横領は、その金額の多寡に関わらず懲戒処分として認められています。ただし、金品の着服・横領の事実、証拠がなく、着服・横領の疑いがあるといった程度では懲戒処分として認められません。

※分かりやすくするために、できるだけ簡単な言葉で解説しています。よって整理解雇や懲戒解雇や判例・通達について全てを正確に説明しているわけではありません。

橋本事務所では、事案の概要を、労働者の勤怠や性格、会社の状況等、多方面にわたり十分に調査して、各事例に合った対応策をご提供しております。

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